不登校の子供さんは、体の不調を訴える事も多いのではないでしょうか?
私の娘は不登校になったばかりの頃は体調不安がかなりありました。
その症状は私が今まで知らなかったことばかりで、自分も勉強して知識を入れないと娘を理解できず、どう対処したら良いのかも分かりませんでした。
娘は中学は不登校でしたが、高校受験をし無事に公立高校に進学できました。
高校で心機一転、日々の学校生活をがんばっていたのですが、教室にいるとある症状が出ます。
それは娘が中学2年の時に無理をおして登校していた頃からずっと続いていた症状でした。
でもそれが病気の症状と本人は認識できておらず、「自分は変な人だ」と思いずっと一人で抱え込んで悩んでいたというのです。
その症状が「脇見恐怖症」です。
娘は教室にいることで悩まされるその症状に耐える事ができず、結局高校は1年生の最後に退学をすることにしました。
視線恐怖の一種「脇見恐怖症」の症状とは?
娘は悩んだ挙句、色々と自分で調べたようです。
そしてそれが「脇見恐怖症」という病気の症状だと知ったのです。
自分が変な人なのではなかったと知り安心し、ようやく私にその悩みを打ち明けてくれました。
人から注目される場面や状況に対し強い不安や恐怖を感じる疾患「社会不安障害」。
その不安や恐怖はどんどん大きくなり、その内日常生活にも支障を来す疾患ですが、10人に1人はかかるとも言われるポピュラーな疾患です。
社会不安障害のには「スピーチ恐怖」「赤面恐怖」「会食恐怖」などがあり、その内の一つに「視線恐怖」があります。
そして視線恐怖にも以下の3種類があります。
- 他者視線恐怖:他人の視線について不安を感じる。
- 自己視線恐怖:自分の視線について不安を感じる。
- 脇見恐怖:視界に入る人や物を見てしまうことに不安を感じる。
他人の視線が怖いタイプと、自分が他の人や物を見てしまう自分の視線に不安を感じるタイプがあります。
私の娘は3番の「脇見恐怖症」です。
脇見恐怖症は、自分の視界に入った他の人を自分の意に反して凝視してしまいます。
その人を見ようと思っていなくても見てしまうのです。
その自分の視線が相手に不快な思いをさせるのではないか、変な人だと思われるのではないかと不安になり、罪悪感を抱きます。
その結果終始うつむいたり、人とコミュニケーションを取る事ができなくなり、その場にいることもできなくなります。
脇見恐怖症~症状持続のメカニズム
対人恐怖症、視線恐怖、脇見恐怖など社会不安障害には色々ありますが、これらの症状の出方はそれぞれ異なります。
そして発症したきっかけも、学校、職場、家庭内など様々だと思います。
でもその症状が続く原因は同じなのです。
それは、「自ら恐怖や不安状況を作り出し続けている」ということです。
人間は現実にバイアスをかけて認識し、それに反応して何らかの結果が生まれます。
そのバイアスには様々なものが影響を与えます。
- 生まれ持った気質
- 作り上げて来た性格
- 置かれた環境
- ビリーフ
この④「ビリーフ」とは、過去の経験から作り上げてきた思い込みや固定観念の事です。
例えば、人前で失敗してはいけない、とか、自分はこういうタイプの人間だ、という思い込みです。
このビリーフが脇見恐怖症の症状を持続させてしまう大きな原因ではないかと考えられています。
例えば自分はあがり症だというビリーフを持っているとします。
人前に出た時に「自分は緊張しているか」「あがっていないか」など脳が全力で自分をチェックします。
すると、脳は「声が震えている」「心臓がバクついている」などの緊張状態の証拠を探します。
脳はこれを解釈して、更に緊張したり逃げたりするという反応をします。
その反応の結果、失敗体験が残ったり、この先も同じ状況に置かれると回避しようという結果になります。
最後に、ビリーフは更に強固になります。
そして悪循環に陥り抜け出せなくなります。
これが脇見恐怖症にも同じ事が言えるのです。
「脇見をしてはいけない」というビリーフがあります。
脇見をすると相手が不快に感じていないか脳は全力で探します。
すると、相手の小さな行動一つ(時計を見るとか咳をするという単純な動作)さえも、脇見のせいで不快に感じているのではないかと脳は解釈します。
その結果、視線を避けたり人のいる場所から逃げたりする反応を取ります。
相手は自分の脇見の事なんて気づいていないのに自分の態度を心配したり不審に思ったりし、恐怖や不安状況を自ら探し出してしまい、ビリーフをより一層強めてしまいます。
そしてうまく行く体験をするチャンスを得られず、悪い状況で固定化してしまいます。
悪化すると、行動範囲が狭くなったり家から出られなくなります。
娘は今そんな症状に苦しんでいます。
教室に身を置くとこの症状が出てしまうので、高校を中退せざるを得ませんでした。
脇見恐怖症を克服したい
では脇見恐怖症を克服するにはどうしたら良いのでしょうか。
①物事をあるがままに受け入れる
- 知覚を過大にしない
- 評価判断しない
- 回避しない
- 不完全な自分を認める
②ビリーフを書き換える
これらは書物などで調べれば理解できるかもしれませんが、実践するのはなかなか難しい。機会があればカウンセリングオフィスが主催するグループワークに参加したいと考えています。
まとめ
脇見恐怖症に苦しんでいる方は大勢いらっしゃると思います。
でもまだまだ認知度が低いため、私の娘と同じようにこの症状が「脇見恐怖症」だと自覚が出来ていない方も多いかもしれません。
もっと多くの方にこの病気の存在を知っていただきたいと思っています。
では(^^)/
▼「あるがまま」という心を育てることによって不安障害をのりこえていく日本発祥の精神療法です▼
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脇見恐怖症について – 過去のカキコミ板 | NHKハートネット
あまり世間に取り扱われていない脇見恐怖症を取り上げていただきたいです。脇見恐怖症とは視界に人(重度になると物)が入ると、その対象物に視線がいってしまう症状です。たとえその人を見ようと思わなくとも、自…
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