棚園正一著『学校へ行けない僕と9人の先生』と『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』

学校へ行けない僕と9人の先生 学校へ行けなかった僕と9人の友だち

最近話題になっていたこの2冊を読みました。
不登校の子どもを持つ親としてとても深く考えつつ共感し、あっという間に読み切ってしまいました。

不登校の子どもさんご自身はもちろん、その親御さんにもぜひオススメしたい2冊です。

Contents

『学校へ行けない僕と9人の先生』

『学校へ行けない僕と9人の先生』は、現在漫画家として活躍される作者が不登校になった小学校1年生から中学入学までの間にかかわった様々な先生(学校、医療機関、塾、漫画家など)や家族との記録を漫画で表現されています。

関わる先生たちは決して出来た大人ではなく、正しいかどうかは別としてそれぞれの大人の論理と都合に基づいて行動します。
それに対し作者はどう感じ、困惑し、葛藤したのか、心理描写がとてもリアルに伝わってきました。

不登校の当事者は大いに共感できるかもしれませんし、保護者は子供の心理状態を想い量る事ができるでしょう。
不登校になった娘が当時同じような思いをしていたのかと思うと、私は胸が苦しくなりました。

この漫画を読めば、不登校の子どもがただ「フツウでありたい」「フツウでいたい」といかに苦しんでいるのかが分かります。

そして、子供が苦しんでいる裏で親も苦しんでいる様が随所に描かれています。
苦しむ子供を前にして、どうしたら良いのか分からない母親。
家庭教師をつけたり、登校に付き添ったり、お医者さんに診てもらったりカウンセラーを探したり。
私も作者の母親と全く同じ行動をしたな、と思い出しました。
苦しむ子供を助けたいと必死だった母親の気持ちが痛いほどわかりました。

それにしても、あの箱庭を作らせるカウンセリングってどういう意味があるんだろう。
結局よく分からなかったな。

著:棚園 正一
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『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』

『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』は『学校へ行けない僕と9人の先生』の続編です。
中学から現在に至るまでを友人との交流をメインに作者の不登校のその後が描かれています。

学校へ通って卒業し就職して働くことが「フツウ」であるなら、それが出来ない自分はどうなるのか。
「フツウ」ではない自分を卑下し「ちゃんとした大人」になろうと必死でもがく中、定時制、専門学校、フリースクールなど様々な場所で友だちと出会い「本当に大切な事とは何か」を知る。

学校だけが、「居場所」じゃない。

どんな道だって、
その先に自分だけの道
続いているはずだから――。

友人たちだってそれぞれに色んな悩みを持っていたり壁にぶつかりながらも懸命に前に進んでいる。
だから自分も自分の道を全うするのが大事なんだという作者の思いが伝わります。

この漫画を読めば、不登校の子どもや親御さんが抱きがちな「学校へ行けないとちゃんとした大人になれないのでは?」という不安な気持ちが少し和らぐのではないでしょうか。

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